幼年スポーツクラブ・山の家

子供たちが登れる  枝付きの大黒柱と棟持ち柱

 

子供たちの施設

 長野県の蓼科高原に建てた幼年スポーツクラブの山の家です。

年齢幅のある子供達が合宿して、自然環境の中で様々な遊びを通して体験学習をします。この建物はその基地として、主宰する二人の保父さんによって構想され、1994年に竣工しました。

 別名「忍者屋敷」と呼ばれるこの山の家には、施主の要望ですべり台やすべり棒、縄梯子など15種29ヶ所もの仕掛けを作りました。

 

 その中で最も象徴的なものが、枝をそのまま残して建物の中心に立つ大黒柱と、対をなして外に立つ枝付きの棟持ち柱です。『ジャックと豆の木』のように木登りのできる樹をイメージして、こちらから提案させていただいて実現したものです。

 家を構築している材木はすべて〈樹〉からできているということを子供達に実感してほしいという想いもありました。 また〈樹〉がそれを望んでいるようにも思われたのです。 

 

枝付きの大黒柱と棟持ち柱を立てる

 

山に生きる木 

 私たちが住む地域は関東平野の西のはずれにあって、昔から「西川材」の産地として知られている所です。この頃は越生町黒山の山奥に古民家を借りてすんでいて、近くに植林から伐採までの林業を営む「小峰木材」がありました。そこで木の先端部分を使って、枝を生かした木工品を作っているのを見たことで、枝付の柱を使う発想は生まれました。それは林業を仕事としているというだけではなく、山に生まれ育ち、山や木をいとおしく思っている人が、自分たちが育ててきた木のその枝の先端までも大切に思う気持ちが表れているように感じられたからです。そして伐採を小峰木材さんにお願いすることになりました。

 

 この大黒柱と棟持ち柱は長さが9mあります。枝を残して伐採し、それを傷つけないように山から運び出すこと、そして何よりもそれに適した木を見つけることは難しいことだったそうです。後日完成した建物の写真を見ていただいた際には、「たいへんだったが、このような使われ方をしてもらえるとうれしい」と言っていただきました。

 大工の側からしても、角材や丸太材をスミカケ加工するより何倍も手間のかかる仕事でしたが、伝統構法の基準と原則に則って、ミズズミとシンズミを引き、それを頼りとして加工しました。

 

柱の命

 ちょうどその建築年は、諏訪大社の7年毎に繰り返される御柱祭の200回目を記念する特別な年でもありました。樹の精が御柱の神様に呼応して、この場に降りてきたように思われてなりません。 

 

 


 幼年スポーツクラブ「山の家」 外観、内観

大黒柱のある吹き抜けのホールには、縄梯子とすべり棒もあり、2階に上がったり下りたりできるようになっています。大黒柱の枝が少ない部分には、木彫の枝を取付けました。玄関には子供だけが通り抜けできる小さなくぐり戸がついています。