八畳間和室を四畳半のお茶室に改修


 ツーバイフォー工法戸建て住宅の八畳和室(関東間畳/2尺9寸×5尺8寸)を、水屋を隣設する四畳半のお茶室(京間畳/3尺1寸5分×6尺3寸)に改修しました。

 習い始めたばかりの〈お茶〉の師匠であり、茶道教授のお施主様と、茶室に造詣深い江戸友禅染織家・星野総次郎氏の監修のもとでの、はじめてのお茶室です。

 

 表面上のみの模様替えではなく、既存壁に開口部をつくったり、既存柱をはずして新柱を加えたため、構造補強や耐震補強を必要とする改修工事となりました。

 

 実際に作業を進めていく過程で感じ入ったのは、お茶室独特の緻密で繊細な伝統的仕様や仕上げと、そこから醸し出される日本的精神性や様式美でした。

 そして、出来上がった姿形はもとより、そこに集った主客が交わす茶道に則った心身の動態=道線や視線が意図、反映され、空間に目に見えない秩序や緊張感、清浄感などを伴って息づいていることが、お茶室の大切な思想、命であることを知りました。

 新築でもそうでしょうが、改修工事という建築的制約の多い条件のもと、茶室空間構築の難しさと妙を経験させていただきました。

 

 また、予算や建築上の制約もあって合理的な仕様や工夫も取り入れましたが、そのほか押し入れ内部の見えない所で、多種にわたる茶道具等の備品を機能的に収納するための工夫を施しました。出来映えは実に簡素ですが、密度の濃い建築となりました。

 

      改修前        →        改修後