〈樹の家〉のこと-都幾川木建自邸


「かわいそうな木に屋根をかけてあげたい」という願いに応えて…

 

 大きすぎる、節が多すぎる、変形している等、規格外で一般の建築には使われない材木があります。そんな木を見るに見かねて集めていた材木屋さん(飯能市・岡部材木店) がいました。この行き場のない、かわいそうな木々たちに屋根をかけてあげたい。 そんな不思議な材木屋さんからの願いが発端となり、建築が始まりました。

 この家の大黒柱は、推定樹齢七、八百年ほどで、高野山に立っていた杉の木です。洞があまりにも大きくなりすぎ、倒れたら危険ということで伐採された六本のうちの一本だそうです。山からヘリコプターで運ばれ、原木市場に出されました。

 板や輪切りにして細かく切ってしまうのではなく、長く生きてきた木の尊厳を生かして、この姿のまま使ってもらえないかという希望に応え、構造の核である大黒柱として計画しました。1997年竣工の建物です。

 外壁は、木小舞の荒壁です。左官屋さんに手伝ってもらいながら、自分たちで荒木田土にワラを混ぜる作業から、塗りまで行っています。


 工程-木との出会いと物語



※「樹の家」が詳しく紹介されています。どうぞご覧ください

職人がつくる木の家ネット初源の営みに魅せられて-木の魂が宿る家」