施主のセルフビルドによる建設との協働 - Mt.Fuji Wood Culture Societyの建築

現場近くの湖畔から臨む富士山
現場近くの湖畔から臨む富士山

昨年(2020)7月から、富士山と河口湖を望む山梨県富士河口湖町にてNPO法人・Mt.Fuji Wood Culture Societyの施設建設に携わっています。

チェアライブラリー(椅子等のコレクションの資料館・カフェ併設)と、工房(宿泊施設付き)の二棟の建設で、都幾川木建は基本設計と軸組木構造の施工を担当しています。

 

 チェアライブラリーは古民家(92年・埼玉県吉見町在)の移築再生、工房は新築で、共に木構造は伝統構法の手刻みによるものです。

 

◆施主のセルフビルドによる建設と協働

施主(NPO法人代表)の吉野崇裕さんは、主宰する〈工房木夢〉で「ZENチェアー©(オーダーメイド椅子)を手掛ける木工家です。今回の建設では施主自ら、材木の伐採と製材から土木・基礎工事に至るまで、スタッフさん、ご家族の協力のもと、その多くの工程をセルフビルドで施工されています。

大工工事は私たち都幾川木建との協働で行っていますが、 吉野さんの主旨に賛同して集まった、協力者(プロ、アマ含め)の皆さんが、それぞれの役割で共同作業をしています。

敷地内で伐採された赤松の丸太
敷地内で伐採された赤松の丸太
製材機「ウッドマイザー」を使っての製材
製材機「ウッドマイザー」を使っての製材
調書を作るため、建設予定地に並べられた二百本を超える木材(主に赤松)
調書を作るため、建設予定地に並べられた二百本を超える木材(主に赤松)

コンクリートブロック(2t/個)を使っての擁壁造り
コンクリートブロック(2t/個)を使っての擁壁造り
敷地造成時に出た石を使っての擁壁石積み作業
敷地造成時に出た石を使っての擁壁石積み作業
材料倉庫'(現作業場)周りの土間コンクリート工事
材料倉庫'(現作業場)周りの土間コンクリート工事

「工房」の縮尺30分の1 軸組み模型を協働で作る
「工房」の縮尺30分の1 軸組み模型を協働で作る
完成した「工房」の軸組み模型
完成した「工房」の軸組み模型

「工房」架構材の墨付け・加工の協働作業
「工房」架構材の墨付け・加工の協働作業
金輪継ぎの加工
金輪継ぎの加工
「工房」長さ9mの赤松材の継ぎ手(台持ち)加工
「工房」長さ9mの赤松材の継ぎ手(台持ち)加工

◆吉野さんの夢/森の再生と、チェアライブラリー&シェア工房

施主・吉野さんによるこのプロジェクトの原点には「大径広葉樹の枯渇の危機感から、木工の仕事で使わせてもらってきたその広葉樹を、自らの森で再生させたい」という願いがあります。

 

そして、椅子研究のレジェンド武蔵野美術大学名誉教授、島崎信コレクションを中心に、コレクターの方々からお預かりした約600脚の椅子を保管・展示するためのチェアライブラリーの建設、さらには世界の木工家が互いに学び合えるオープンな場としてのシェア工房建設が連動して、その夢は発現しようとしています。

 

詳しくは、和田 賢治(木工家)さんのブログ

木工家 吉野崇裕氏が4000坪の森を開拓して切り開く日本の木工業界の新たな世界」 をご覧ください。

◆チェアライブラリー/古民家の移築再生

昨年2020年9月に縁あって、埼玉県吉見町にある築92年の古民家を譲り受け、これをチェアライブラリーとして移築再生することになりました。古民家解体工事に向けての準備が暮れに始まり、本年1月末に軸組をほぐして都幾川木建に搬入の予定です。

 

ときがわで、傷んだ部材の補修や捻じれ・曲がりの補正、そして増築部の追加加工と架構の修正を行います。富士河口湖町への移設作業は4月末から5月を予定しています。

 

今後の移築再生工事の進捗についてはこのページをご覧ください。

古民家の移築/チェアライブラリー