この度、自然石の上に建てる二階建て住宅の完成をみました。
今日、建物の基礎は鉄筋コンクリート製が当たり前になっていますが、それは明治以降150年ほどの歴史しかありません。
日本の木造建築1300年余の歴史からみると、石を礎としていた時代の方が圧倒的に長かったのです。
そして、必要な条件を満たせば理論上は何千年も耐久性があるとされる鉄筋コンクリートですが、実際のところ100年を超えて今も使用されている建築例はこの日本にあるのでしょうか。
私は日頃200年~300年長持ちすることを願って建物を造っていますが、いつも懸念しているのはその基礎としての鉄筋コンクリートの耐久性です。
おそらく将来木造躯体は保ったとしても、基礎の鉄筋コンクリートを新しく打ち直さなければならない時がいずれ来るのではないか。
またそれ以前に、ビルはもちろんのこと、一般的な建物の寿命を仮に~50年か70年~とみても、将来膨大な量の廃棄鉄筋コンクリートが発生することが予想されます。
そうした思いから私は、近年になって各地でごく僅かながら建てられ始めた自然石による「石場建て」工法を、機会があれば是非やってみたいとの思いで注目していたのですが、幸い様々な条件が整い今回実現の運びとなりました。
いずれは産廃物となってしまう運命のコンクリートと違い、石は永遠の素材です。
その施工過程も完成状況も、前時代にタイムスリップした感があり、その原初的な姿はとても印象深く心に残るものとなりました。